このところ【 隈研吾の設計した公共建築が25年で老朽化のため修復 】というニュースが話題ですね。
木を使うと腐るので耐久性が悪い、
メンテナンス費用が掛かる、
すぐ汚くなってくる、
など私たち木を扱う者として、木に対するイメージが悪くなるよなーという報道でした。
前回のブログ、ユーチューバーのハスコさんが取材に来てくれましたの中で私たちが作る木製のトレーラーに対しての意見を拝見したお話を書きました。
その中で木は腐るし耐久性が弱くメンテナンス費用もかかり、寿命も短いと考えられている方が少なくないのだなと思っていたところ、今回の話題です。
そこで、木の耐久性について書いてみたいと思います。
そのニュースの公共施設の老朽化の一番の原因は、雨ざらしの状態で木を取り付けてあることが原因なのですが、当然この状態になるのはわかっていたはずです。
以前はパーゴラとか藤棚と呼んでいましたが、よく似た構造で木を雨ざらしで使用しました。
やはり耐久年数は10年程度で傷んでくると思います。
隈氏のWebサイトには (この杉材は、不燃処理、防腐処理をほどこす事によって屋根材としても用いる事が可能)と書いてありますがもともと何年程度の耐久性を見込んでいたのでしょうか。
隈氏は当時の塗装が悪くもたなかったと言われていますが、外部の雨ざらしに使う木は、ある程度の時間が経てばメンテナンスや改修は必ず必要です。
日本の家は軒を深くして壁に雨が当たらないようにすることが大切なのですが、私たちの作るトレーラーハウスは軒を出すことが困難です。
そこで、防腐を日本の昔からある伝統的な方法で行っています。
木は古くなると自ら保護皮膜を形成し、耐久性が上がるのですが、その保護皮膜を人工的に作る伝統的な素材を塗布していて、新品の時から日焼けした茶色の表情になり、耐久性を確保します。
それでも、年数がたてば板は少しずつ風化していき、薄くなり、いずれは割れたりひびが入り破損してくるので、その時は外壁を外し張りなおす必要が出てきます。
使用環境により耐久性は大きく違ってくると思いますが、長く使い続けるにはやはり、塗装などのメンテナンス、補修や、交換、は予定に入れておいて頂きたいと思います。
私どもの制作しているトレーラーには耐光性の強い塗装仕上げの製品もありますが、それでも5〜10年に一度程度は再塗装を行うなど、メンテナンスは必要です。
結論を言うと、木の風合いを大切にしたい場合は、年々変化する風合いを楽しんで、寿命がきたら張り替えを行う。
木の新しい風合いのままを維持したいのであれば塗装をし、数年で塗り直す。
木が古くなったり、メンテナンスが大変と考えるのであれば木ではなく、ステンレスや、アルミの外装にすることをお勧めします。
今回の公共事業の問題は、木は古くなります、メンテナンスが必要です、何年程度で交換が必要ですと、予め図面、契約書類などに記して、十分関係者に理解と、準備をしていただく必要があったのではないでしょうか。
木は人間にとって、とても大切な身近な素材だと思います。使い方を理解し、木の恩恵にあずかるということのお手伝いをしていきたいと思います。